最近の3Dプリンタ事情(デルタ)
2017.09.21


もう1年近く3Dプリンタの新情報を得ていないので
久しぶりに新商品の部品構成などを勉強してみました。

革命的なモデルはまだ出てきてないにしても
いろいろな派生モデルが登場していて
それぞれに工夫が見られますね。
販売しているメーカーも種類が増えてきて
昔はMicromakeがデルタの代表格でしたが
今やAnycubicが勢力を広げ、
Tevo、Geeetech等も目立ってきています。
Tevoの新商品なんてsmoothieware搭載とか
凄いことになってますよ。

↓これなんて$139.40ドルです。
送料込みで2万円しません。時代は変わったんですね。
BIQU 3D printer BIQU Magician


こういった商品を見ていると、
射出成型ですらないKossel K800は
だいぶ遅れてるなぁ・・ と思います。

新型は旧型の問題点をしっかりとらえていて
特に重要な部分については組み立て済みという
特殊な工具や冶具がなくても
精度が狂わないようにしている点も関心させられます。
配線なんかもコネクタ可が進んでいると共に
メイン基盤にもマーキングがしっかりされているので
配線図とにらめっこしながら
接続なんてことももう無いんですね。
随分と簡単になったものだわ(;´∀`)

最近の流行は
1.オールメタル
2.フライングエクストルーダー
3.BlTouchを用いたオートレベリング
4.エフェクター配線とのコネクタ化
5.ベッドの持ち上げ設置廃止
 (平地に設置・調整機能排除)

6.メインボードと電源ユニットを共にBOXユニット化し
  外部設置又は上部設置


結構重要な改善点だと思います。
それぞれについて、ちょっと考察してみます。

1のオールメタルについては
削りだしの金属を使うことで
強度アップと精度アップの両方を
兼ねているのでしょうね。
デルタはフレームの3角柱が垂直に建つためには
コーナーパーツの精度に頼るしかなく
直行式のように正確な調整をすることが難しいのです。
私のKosselは3Dプリンターで作られた部品でしたが、
数カ月後に射出成形のパーツが販売され、
それによりかなりの精度を得たようですが
オールメタルの登場によって印刷中のふらつきが軽減
更に改善していると思われます。
以前、エフェクターとキャリッジを
メタルに変えましたが
その時に半端ないレベルアップに繋がりました。


2のフライングエクストルーダーは
フィラメントの送り出し距離を短くすることで
コントロールのダイレクト感を得るもの
だと思われます。
柔らかいフィラメントを使うと
エクストルーダーからノズルまでの間に
バネのような伸縮が起こり
ダイレクト感が薄れていきます。
距離が長ければ長いほどその影響は大きいので
最短にするためにはエフェクターの真上に配置すれば
良いという考え方のようです。
デルタの場合、エフェクターの上に
モーター等をそのまま載せる
というのは重量が極端に増えるので
XYZ軸モータの負担や慣性などを考えると
あまり現実的ではないとのことから
エフェクターと切り離し、3方向のキャリッジから
ゴムで吊るすという方法で負担を分散するのが
今の主流のようです。
ただし、印刷中はエフェクターがブランブランするので、
あまり美しくないですね。
あと、フライングエクストルーダーにするには
マグネット方式では脱落する可能性が高まるので
ロッドエンド方式に戻っているようです。


3のBlTouchを使ったオートレベリングですが
実に興味深いですね。
Kossel K800ではノズルを印刷面に接触させ
ノズルを押し込んでスイッチを押す方式で
0座標を得るという荒業を採用していました。
付属されたこのパーツは3Dプリンター製でして
作りが雑。正確に作れていないだけでなく、
公開されているSTLデータを見ると
エフェクターの中心点がズレている為、
ノズルが中心にこない。
このメカニズムが嫌で私は使っていないのですが
BlTouchはデルタで一般的に売っている
金属エフェクターに横付けできるので大変便利です。
更にこのBlTouchは、超音波方式でも
金属探知方式でも無く、ピンによる接触方式なので
ベッドの素材に影響を受けません。
更ににベッドの熱にも影響を受けにくい特徴もあります。
これは凄いですね。前にもピン方式はありましたが
バネスイッチを間接的に押し込む方式だったので
精度を突き詰めると問題がありました。
このセンサーの詳しい情報は
https://www.antclabs.com/bltouch-kr
こちらからどうぞ。


4のエフェクターに繋がる配線を
コネクタ可するというのは
メンテナンス性の向上。これだけの話です。
組み立て式の製品で実用化してるのはあまり見かけません。
マグネットでエフェクターを接続するデルタでは
先行して実現している人も多いと思いますが、
ロッドエンド方式でも十分役に立ちます。
ヒーター2本、サーミスタ2本、
ラジエーターファン2本
オートレベリング用センサ5本
全部で11端子のカプラがあれば1箇所接続でいけますが
一般的に流通してる安価なカプラは
9端子がMAXのようなので
実現するには少し考える必要がありそうですね。


5のヒートベッドを平地に設置というのは
スペーサー等を用いて浮かしたような設置をしないで、
床板にベタ置きして固定するというやり方ですが、
可能ならコレが一番いい方法というのは
前々から感じていました。
これの利点は、ベッドを支えるのが
点ではなく平面になるのでベッドの安定に繋がります。
先日いろいろ実験して分かったのですが、
うちのKosselでは熱膨張したときに
ベッド自体に捻りも発生していました。
これのせいで高さの狂いが均等でなく、まばらに発生。
いくらX,Y,Zを調整しても、
所々キレイに印刷されない
という状況につながっているわけです。
(この事象について、Marlin公式ではノズル間の
不規則性と呼んでいるようですが、
解決方法としてZプローブを利用した
ベッドレベリングを推奨しています)
平面に置くのであれば、

固定箇所も今までXYZの3箇所(良くて6箇所)だったのが、
ベッドの外周全部を使って固定することもできるわけで
歪みの問題は
うまい具合に解決できるのでは?
と想像します。
ただし、調整機能を削り床ベタにするためには
フレームが正確な三角柱として組み上がっている
ことが大前提なので、
1のオールメタル化の成せる技なのかもしれません。
あと、ヒートベッドの背面に接続端子が無いことが条件です。
この点も新タイプのベッドが登場で解決しているようです。
ウチのKosselではベッドを外枠のアルミフレームを支えに
固定していて、更にベッドの下にメイン基板を置いている
構造なので実現がちょっと難しいですね。


6については、メンテナンス性、配線の整理、
モータードライバや基盤の温度管理が向上しますね。
ヒートベッドの下にメイン基板を置くよりは
断然良いと思います。
ただケースについては汎用品が無いので、
各社独自に用意しているようですね。
自分でやるとなると大掛かりになりそうです。


どれ一つとしてウチのでは実現できてませんね。
今後の課題が山積みになりました(´Д`)ハァ…
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