【Sonic Mini 4K】光学式3Dプリンター導入
2020.12.21


Phrozen社の Sonic Mini 4Kを導入することになりました。
なぜこの機種?
いくつか理由はあります。

1.今年発売された低価格光造形機では最もスペックが高い
2.台湾製だから
3.年末セールで、激安で買えたから。

私的には2番が一番の理由です。
台湾製品って中国製品とは売る姿勢が全く違うんですよね。
どうせなら品質が良いものをと思ったわけです。
3番のセールとは Aqua-Gray 4Kレジンが3本+FEPフィルム(A4)をたった1$追加で付属してくれるというもの。
Phrozen社は良くこのキャンペーンを行うのですが、重量が当然増すので送料がえらいことになります。でもAmazonでレジンを同じ数だけ買うよりは半額以下で済んでしまうため、激安には変わりはないです。

登場してまだ日が浅く、2020年10月あたりから到着報告が現れた状況なので日本のレビューはあまりありません。なので客観的な部分をまとめていきます。

Sonic Mini 4Kのネガティブな部分は4Kモノクロ液晶の保守部品がまだ安くないところですが、
カラー機とくらべモノクロ機は寿命が3倍長いしFDMほど出番はないかもしれないので特に心配はいらないでしょう。
液晶の上にレジンをドヴァーっと零さない限りは(;´Д`)
FEPフィルムは特に純正を使わなくてもいけるので、これも無問題。むしろ社外の方が安く、印刷品質もいいという話すら聞きます。

スライサーはCituboxを採用。無料なのでバージョンアップしても心配ありません。
Zレベリングは自動ではないが、4点調整なのでほぼ正確に簡単に調整できそう。
リニアレールは1本しかないけどもこの手の価格帯とサイズでは一般的。
筐体は驚くほど小さいです。基本的にSonic Miniと筐体は同じと思われます。
違うところは液晶は6インチなので、5インチ系よりも少し大きめの造形が可能。レジンバットがプラスチックから金属製へ。あとは蓋の色が赤から黄色に変わったくらい。
Wifiの機能は持ってないので、印刷のステータスやプリントデータの送信はできません。USBメモリだけでやり取りを行います。

海外の購入で心配なのはクレジット決済。あまり番号を知られたくない人も多いはず。
私も中国系とかは絶対にメインのカードは使いません。
今回、支払いはプリカ系を使うことができた。ウチで使ったのはバンドルカード。
コンビニチャージならチャージ料がかからない素敵なプリカ。VISA系で使えます。
とは言ってもプリカは店舗で使うことはできずネットショップのみ有効なので、使えるかどうかは決済画面で打ち込んでみないとわからない。結構博打要素があって怖い(;´Д`)
Aliexpressは使えるのでPhrozenもいけるかなーと思ってチャレンジしたところ問題なく通りました。

問題は本家台湾から直接購入したのでしばらく送られてこないこと。
到着は2-3Weekとあるので今年中に届くことはまずないかと。出荷するのかすら怪しい。正月あたりはPhrozenも休むだろうし流通も鈍化するので、出荷されてなければ来月の中旬も覚悟かな。
日本には正規代理店と謳う会社がありますが、そちらだと極端に値段が高く(約2倍)、本家のキャンペーンも適用されません。代理店のメリットは送料無料ですぐ届くことと、保証と日本語サポートぐらいなので、特に急ぎではなく、ある程度トラブルを自分で解決できるなら多少遅いくらいは我慢すべきと思いました。

スペック一覧
System: Phrozen OS
Operation: 2.8in Touch Panel
Slicer Software: ChiTu Box V1.6.5
Connectivity: USB
Technology: Resin 3D Printer - LCD Type
Light Source: 405nm ParaLED Matrix 2.0
XY Resolution: 35 µm
Layer Thickness: 0.01-0.30mm
Printing Speed: 80mm/ hour
Power Requirement: AC100-240V~50/60Hz
Printer Size: L9.8 x W9.8 x H12.9 in
Print Volume: L5.2 x 2.9 x 5.1 in
Printer Weight: 5kg

今回のセールでSTLデータが2つおまけでついてきました。



正直印刷したいとは思わない(;´Д`)
もう少し誰もが喜ぶデータは無かったのでしょうか
カッコよさも色気もない・・・・
光造形の考察
2020.12.09
今年の光造形の3Dプリンターは1年間に2回の革新変化がありました(;´Д`)
2Kカラー液晶 > 2Kモノクロ液晶 > 4Kモノクロ液晶

今年の最初から、2Kカラー液晶は各社当たり前でスタート。HDやFHDの液晶を使ってる製品は絶滅していました。ちょっとしたら2Kのモノクロ液晶で印刷速度と耐久性がアップという進化を遂げ、秋ごろには6インチサイズで4Kモノクロなんて高解像度モデルが登場。
Zガンダムのティターンズよろしく各社新型機をガンガン実戦投入されていきます。
大型機の低価格化も進んで劇的に買いやすくもなりました。
10万を軽く超えていた製品が今年は数万で買えるところまで乱降下。
そして光造形の世界は、ElegooとAnycubicとNova3D、Phrozenの4社の争いに。
エゥーゴとティターンズと連邦とネオジオンみたいなそんな感じ?(;´Д`)
流石に、スマホの8K液晶がまだ登場していないため、
今後は革新的な変化は無いと思いますが・・・

Phrozenは中国で一般化しているパーツをあまり使いたがらない傾向にあります。
そのため独自パーツが多く保守部品もメーカーから直接買うしか方法が無いようです。
しかし、それぞれの部品がよくできているので比較的他社よりも良い印刷結果が出てるようです。
他のメーカーは基本パーツはほぼ同じものなので、部品チョイスの差だったり筐体の構造の違いや、ビルドプレートの加工、ライトの配光くらいで差別化されてはいますが、どれもある一定の品質が出るようです。つまり無難。
壊れてもAliexpressを覗けば何とかなります(;´Д`)

今年の集大成として、家庭用最高の性能を誇ったのはPhrozen Sonic Mini 4K
4Kの解像度ながら価格は$329.99
他の格安2Kと真っ向から勝負できる価格で登場しました。
解像度が高すぎるため、レジンの相性や照射調整が難しいらしいですが、
使いこなせばFORM3もびっくりの仕上がりという。



2Kモノ機で最も高性能と思われるのはAnycubicのPhoton Mono SE
リニアレールが2本でZ軸を支えます。WiFi装備で蓋が金属。ライトの排熱ファンも装備
Z軸が安定しているので設定が決まれば2Kの世界で一番きれいに印刷できるだろうとは思いますが


ちょっと高いので、ほとんどの方は上記のELEGOOか、Photon Mono 2K,
NOVA3D Bene4monoに進むんだろうなと。
2Kモノの保守パーツは安く簡単に手に入ります。解像度が4Kよりも荒い分、造形も成功しやすいということで
2Kモノクロ液晶の製品は長く使われるような気がします。
モノクロになったことで液晶の寿命が長くなりましたし新商品がでたとしても2,3年は安泰?(;´Д`)



今年の最後はELEGOOが2Kモノクロをぶっこんできました。
6.08インチの2KモノクロLCDパネル採用なので、Anycubicと同じパーツ構成。
筐体はMars2proと同じ。レジンバットをプラにするなど退化部分もありますが、そのせいもあってか他社よりも安くなっています。
アルミのレジンバットが欲しければおそらくMars2proと共通だと思うので、別途買えばいいと思います。

さて、この記事を書いた目的にも繋がるのですが、旧モデルがアマゾンで税込16,999円で投げ売りしています。aliexpressよりも安い!

2Kのカラー液晶ではありますが、リニアレールのガイドも搭載し、初心者体験用と考えても安すぎです。しかも今なら1000円の割引クーポンまで付いてきているようです。玄人ならこれをベースに改造してもいいかもしれません。
このビッグウェーブに乗り損なうな!(笑)
過去最大の印刷
2020.04.29


Cetus、今までで特大のサイズの造形です。車のタイヤチェンジャーのセンター出しに使う部品。
時間にして18時間50分。強度が必要なのでポリカーボネートです。
中はメッシュにしてるけど、300g使用します。



プレートが歪んできてるのか、広範囲だとラフトの定着度合いがおかしい。オートレベリングで吸収できてないと思われる。特に中央部は凹が強い。プレートから印刷物を剥がすときに煽っているのが悪影響してるんだと思う(;´Д`)
Cetusはこれでもか!ってほどラフトを厚く作るのでパーツには影響しないのが




ポリカーボネートにしてはまずますの造形。少し糸引きはあるけど誤差の範囲でした。
ラフトから剥がすのはかなりしんどいです。なまじ硬さと粘りがある素材なので底面をキレイなまま剥ぐことは不可能でした。
ポリカーボネートフィラメント(PC)を使ってみる。
2020.03.22
強度がとにかく必要。そんな印刷が必要な時の選択肢はABSやPETGが代表ですが、
実はまだ上が存在します。
それはポリカーボネートのことですが、PCと略されている場合が多いのでわかりにくいかもしれません。

耐熱温度
    ABS:70~100℃
    PC:120℃~135℃
耐衝撃性
    ABS:強い
    PC:ABSの5倍の強度
耐薬品性
    ABS:強酸に弱く、ケトンやエステルなどの有機溶剤に対してはひび割れや溶解などを引き起こす。
    PC:アルカリ性の薬剤、溶剤には弱い
耐候性
    ABS:優れるがプラスチックの為完全ではない。
    PC:優れるがプラスチックの為完全ではない。
透明性
    ABS:光沢があり透明しかし、完全には至らない。
    PC:光学部品にも使われるほどの透明度が可能
可燃性
    ABS:燃焼する
    PC:不燃性に優れる

防弾の盾にも使われているという話なのでその強靭さは半端ではありません。
3Dプリンターでも素材として使えるので問題なく印刷できるか試してみたいと思います。
【Cetus Mk3】TPUで過酷を極める
2020.03.01
知り合いに頼まれたもの、フォークリフトの燃料フィルタ(;´∀`)
最近、燃料タンク開けて見たら様々なゴミが浮いているとのこと。しかも結構大きなもの(;´Д`)
標準では給油口には何もフィルターがないので、分解したこの際に付けておこうという話。

TPUフィラメントの弾力性を生かしての作成ですが、TPUと言っても素材はいろいろ種類があるようで、中にはことごとく耐性が無いものがあるという。ガソリンに耐性が無いと意味ないので、いろいろテストしました。
エンジンオイル、ブレーキオイル、ガソリンに漬けてしばらく放置しましたが溶けることもべた付くことも変形もありませんでした。私が持っているフィラメントは問題なく使えそうです。



設計してみました。結構激しい構造です。側面は網編み構造なので造形能力が無いプリンターは簡単に崩壊です(笑)
サポート有での印刷をすると、網を補佐しようとしてとんでもないことになるので無しで造形します。
代わりに自分で外周に壁(透明な壁)を付けてサポートがわりにしました。
ちなみにTPUのサポートは手で除去することはできません。ニッパーで1つ1つ切除する必要があるため、TPUでの造形はサポートは無しで考えるべきです。どうしても必要な時は、自分で設計時に付けてあげたほうがコントロールしやすいです。



造形完了。0.1mmのFineで印刷したので12時間のロングランでした。
筒の状態は除去するサポートです。



筒を取り除きました。思った以上にキレイに造形されています。サポート無しでTPUを印刷したとは思えません。糸引きも目立つものは無く、ちょっとポツポツとした出っ張りはありますが、気になるところはニッパーで切ればいいし、使用中に取れてしまう感じもありませんのでこのままでもいいと思います。



底面の網もきれいに造形されてました。すごいな、Cetus



潰してみても構造が壊れる様子は全くなし。厚めのビニールみたい。
下部に網になっていない部分がありますが、これが無いとサポート無しにしても勝手にサポートが付いてしまってうまくいかないのです。ネットで検索してみたのですが、詳しい情報が得られないので困ってます。

まぁ、これが完成したということはTPUで今後困ることはほとんどなさそうです。

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